そうだ、ライブハウスへ行こう

『そうだ、ライヴハウスへ行こう』

10月 2, 2012


文:菊地佑樹

僕がはじめてリキッドルームに行ったのは、およそ4年前のイギリスのHADOUKEN!というバンドの来日公演だったと思う。当時高校生だった僕にとって、リキッドルームのスケールの大きいステージや、会場二階にある、お洒落な内装のオープンスペースはどれも魅力的で、そこでの空間体験は、いままで味わったことのない感動と興奮が混ざりあった、とても刺激的なものだった。

 

9月30日にリキッドルームで行われた、「 DUM-DUM meets 在日ファンク LIQUIDROOM 8th  Annivarsary(Donuts Fanclub)」は、個人的なライヴハウスでの原点体験を回想させる素晴らしい内容であったと同時に、リスナーやアーティスト、そして関係者をも含め、“楽しむ ”という、当たり前のようで忘れかけられている、シンプルなライヴハウスの命題を念頭に据えた、素晴らしいアニヴァーサリー・パーティーだったと思う。


そして、DUM-DUMがセレクトした、いろんな世代から、違う角度で現在のシーンを盛り上げるアーティストが集ったのも、アニヴァーサリー・パーティー特有のヴィヴィットなカラーが出ていて良かったし、VJや、レーザーなどもフロアを盛り上げ、とても効果的な演出が華やかだった。

 

個人的に、当日ぐっと来たアーティストは、SIMI LABと、在日ファンクだった。SIMI LABは、これまでラップ・ミュージックを聴く機会をつくづく逃し続けてきた僕を魅了した。ステージから縦横無尽に押寄せてくる分厚いトラック、彼らのサウンドプロダクションや、ヴィジュアルはどこまでもパワフルで、エネルギッシュなパフォーマンスには、ジャンルを超越し、無視しきれない輝きがあった。是非これからもチェックしていきたいと思う。

 

在日ファンクは演奏を見ていて、現在の日本のシーンにおいて、サウンドや立ち位置などを含め、とても希有で、面白い存在だと思った。ブラス隊が躍動的な音を重ね、アフロビートや、ギターが作り出すグルーヴは脳を刺激し、気づくと身体は踊りだしていた。「爆弾こわい」などの遊び心のある言葉たちも印象的で、また面白かった。10月3日リリース予定のミニ・アルバム、『連絡』が楽しみだ。

 

パーティーも終盤に差し掛かる頃、楽屋などでは会場のスタッフなどが忙しなく動き回っていた。これまでリキッドルームなどで僕が体験してきたライヴハウスの思い出たちのように、この日のパーティーや、この先の素晴らしいイヴェントが、誰かの心の奥に、常にそっと残ればいいなあと、しみじみと、そんなことを思ってしまったが、これからも素敵な企画を提示する場所、リキッドルームが存在する限り、きっとそのような心配は不要なのかもしれない。

 

全てが終わり、外に出ると、すっかり台風は過ぎ去り、星はとっても綺麗に燦然と輝いていた。永井博のDJからはじまり、在日ファンクで終わった、この日のパーティーは、今年の夏を締めくくるに相応しいパーティーだった。

【あらためまして、リキッドルーム様、8周年、誠におめでとうございます!】

 


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